コロナ禍によって、ビジネスピープルの生き方(ライフスタイル)が様変わりしつつあります。企業も個人も、一見、大変な(混沌の)時代へと進み始めているように見えますが、少しばかり視点を変えて観察してみると、大変というより、「魅力的な」「面白そうな」「自由な」といったワクワクするような形容動詞が似合う自立した生き方にも見えてきます。
ワーケーション(Work × Vacation)という造語もまた、新しいワクワク感を伴うような考え方・生き方を提唱する概念として、ビジネス界で注目されている新たな生き方(キーワード)となっています。ワーケーションの具体的な定義は、人それぞれですが「休暇を取りながらリモートワーク」という基本概念は個人のワクワク感を掻き立てるだけであって、企業側・経営者側に立つと、雇用制度の在り方として、やはり大変な時代になったと言わざるを得ません。
とはいえ、リモートワーク・テレワーク導入、副業OK、フリーランス活用等々、社会環境の変化と個人の価値観の多様化によって、雇用する側は、新たな生き方を受け入れ、次のステップへ進む必要があります。
そこで、個人と会社の関係性を再構築するためのビジネスモデル、メソッド、ノウハウ(時に環境や設備も含む)を提供するコンサル会社や研修会社が、新サービスを次々と打ち出し始めています。特に集合型研修を主に行ってきた会社は、コロナ禍で身動きが取れない状態が続いているだけに生き残りをかけての取組といえます。
一方、同様の取組を行っているのが、地方創生に関わる人たちです。
彼らは、地方移住を促進し支援する取組に加え、田舎ならではの企業向けの研修プランを考案し提供しています。過日、地方に活動拠点を持つ様々な団体の人たちと研修会社のコラボセミナーに参加しました。テーマは、企業向けの「越境学習」。各地域の課題や考え方の違いを知ることができ、とても良い学びとなりました。
一つ気になったのが、各地域での「越境学習」によって何が変わるのか?ということです。
つまり、「企業側が受ける価値とは何か?」という問いに、明確に回答できる人が、誰一人いませんでした。
「自然の中での学びは、皆さんとても良かったと言ってくれます。」「その学びは、提供者である私たちの想像を超えるものでした。」的な抽象論が多く、あたかも、リフレッシュを目的とした小さな団体旅行という域を脱し切れていないように見えたことです。
皆さんは、ワーケーションや越境学習によって、本気でパラダイムシフトが可能であるとお考えでしょうか?
私たちは、コロナ禍の前から農家の新しい取組として「農家で企業研修」をテーマに、研修会社とのコラボレーションを求め、幾社かにアプローチし打合せを重ねた経緯があります。しかし、いずれも前進はなくボツ(自然消滅)となりました。当時は、他社との差別化を図る上で農業に興味を示す人は多かったのですが、「研修にどう農業を絡めるのか?」に、本気で取り組もうという人はいませんでした。
ところが、ここに来て、研修会社等から当社の施設利用に関する問合せをいただくことが増えてきました。コロナ禍は、ある意味、私たちのような風変わりな農家にもチャンスをもたらすかのように・・・与えてくれているようです。
私たちの主テーマはワーケーションです。
しかし、現実問題、我々の環境は、周囲一面、田んぼ、田んぼ、田んぼ・・・。海も山も小川もありません。Vacationに相応しい観光資源は皆無です。客観的に見れば、前述した地方創生に関わる人たちがいるエリアの方がストレスフルなビジネスピープルには魅力的なはずです。
そこで、何をどう考えても「ビジネスピープルは、加須市の農家で何を学ぶのか?」が問われてきます。観光資源がないからこそ、より明確な価値が求められます。が、これは非常に難易度の高い問いです。
現在ある当社の企業向け研修コンテンツとしては、
・農力で能力開発 – 講師:藤田誠二氏
・二宮尊徳翁から学ぶ「天命」- 講師 :オーハシヨースケ氏
・農から学ぶ自然の法則 – 講師:関野幸生氏
があります。
いずれも、農のメソッドを応用した人財育成プログラムです。
そして、これらとは別に「健康経営倶楽部」と題した健康サポートプログラムを開始致しました。このプログラムの面白いところは、我々農家が企業と人財の健康をサポートするメニューを構築し、企業は健康経営の実践と共に、日本の農業を守るといった相互扶助的なシステムが根底にあります。倶楽部とした由縁は、参加者すべてに権利と責任と役割が与えられるという意味があります。
この健康経営倶楽部は、始まったばかりで課題も多いのですが、農家ができる企業向けのサービスとしてはしっくりとくる名称です。当たり前のことですが、健全な心と体があってこそのノウハウやパワーでなければ人も企業も長続きはしません。そして、地球も・・・
私たちは、「ビジネスピープルは、加須市の農家で何を学ぶのか?」に再考し、企業向けのサービスとしても「エシカル」という事業コンセプトを主軸に再構築を行いました。
当社の公式サイトのトップページに
「私たち誠農社はエシカルな価値観を多くの方と分かち合える場にしたいと考えています。品質・価格・安全に加え「倫理」という基準を加えた概念をエシカルと呼びますが、個々の皆様が生きるために衣食住の分野において自分に心地よいと選んだモノやコトが自然に環境や社会をよりよくすることを可能にするとしたら、どんなにか素敵な地球になることでしょう。すべての資源は無限ではなく有限であり、資源を大切にしようという気持ちを多くの人が心の奥底にもっています。空の雲は水蒸気の塊で常に形と場所を変えています。それでも雲が雲であることを誰もが理解しています。誠農社は、皆様の頭上に形を変えつつ見守る雲のように、いつでも、どこでも、皆様とエシカルを共有できる存在でありたいと思います。」
と明記しております。
今、「ビジネスピープルは、加須市の農家で何を学ぶのか?」と、皆様から問われれば、「健康づくりを学ぶ」と自信を持って答えます。そして、「人々の健康づくりに貢献することが農家(生産者)の使命である」と感じるようになりました。
共創パートナーの皆さまへ
農家で「健康づくりを学ぶ」を、より分かり易く、より企業ニーズを満たすものにしていきたいと考えております。「健康経営倶楽部」におきましても、共創パートナーの皆さまと共に成長させ、広めていければと思っています。
タグ :ワーケーション